日本財団 図書館


 

029-1.gif

図6 剖検による肺癌の合併症(55人)

 

学的には、末期癌患者の死亡直前に現れるごく一般的な状態である。
図6は、肺癌55人の剖検例から得られた合併症である。その結果は、呼吸器感染症25.7%、左心肥大23.6%、肝鬱血18.2%、急性脾炎14.5%、腎欝血10.9%の順で、多重癌は23.6%であった。
さらに頻度は少ないが、心筋梗塞や胃・十二指腸潰瘍など注意の必要な合併症が見られた。次に図7は大腸癌35人の剖検例による合併症である。やはり1位は呼吸器感染症22.9%で、この頻度は同じ消化器癌でも胃癌の約2分の1になる。ついで肝欝血22.9%、脾炎18.4%、肺鬱血・肺水腫14.3%、水腎症14.3%の順で、なお多重癌の頻度は多く48.6%であった。
図8は乳癌28人の剖検例から得られた合併症である。呼吸器感染症が1位で28.6%、それに次いで頻度の高いのは肝鬱血、肺鬱血・胸水の順である。なお、多重癌の頻度は35.7%であった。
図9は前立腺癌25人の剖検例による合併症である。やはり呼吸器感染症の頻度が高くて48%であるが、前立腺癌の合併症の特徴は、心筋梗塞(急性および陳旧性)の合併の頻度が多いことで、前

 

029-2.gif

図7 剖検による大腸癌の合併症(35人)

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION